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噛む力が衰えるとどうなる?40代から始めたい健康寿命アップ習慣

食事をしながら家族団らんをしている

噛む力が衰えるとどうなる?40代から始めたい健康寿命アップ習慣

「最近、硬いものを避けるようになった」「早食いになってきた気がする」…そんな変化を感じていませんか?実は、こうした食生活の変化には“噛む力の衰え”が関係しているかもしれません。

噛む力は、40代から少しずつ低下していくと言われており、放っておくと心身の老化につながるリスクがあります。この記事では、噛む力の重要性と、今日から始められる健康習慣について解説します。

 

咀嚼力の低下が引き起こす意外な影響

「噛む力が弱くなる=食べづらい」だけではありません。咀嚼の質が落ちると、栄養摂取が偏ったり、脳や筋肉への刺激が不足するなど、体全体にさまざまな悪影響が及ぶようになります。

特に40代以降は筋力も少しずつ落ち始める時期。口の機能を保つことが、健康寿命の鍵を握っていると言っても過言ではありません。

 

噛む力が落ちると現れる5つのリスク

① 認知機能の低下につながる

噛む動作は脳への刺激にもなっています。特に「記憶」や「思考」を担う海馬は、咀嚼の影響を受けやすく、噛む回数が少ないとその働きが鈍ってしまう可能性があります。

将来の認知症予防には、しっかりと噛めることが大切です。

 

② 肥満や生活習慣病のリスクが上がる

噛む回数が少ないと、満腹感を得る前に食べ過ぎてしまいがちです。また、あまり噛まずに飲み込むことで、消化吸収にも負担がかかりやすくなります。

よく噛む習慣は、体型維持や糖尿病、高血圧などの予防にも効果的です。

 

③ フレイル・転倒リスクが高まる

咀嚼は顎の筋肉だけでなく、首や姿勢を保つ筋肉にも影響を与えます。噛む力が弱まると、身体のバランスが崩れやすくなり、つまずきやすくなるといった日常動作にも支障が出てきます。

「噛む力」と「下半身の筋力」が無関係ではないというのは、近年の研究でも明らかです。

 

④ 唾液分泌が減り、口内環境が悪化

しっかり噛むことで唾液が分泌され、口の中が潤い、菌の繁殖を防ぎます。逆に噛む回数が少ないと、唾液の量が減り、虫歯や歯周病、口臭の原因になります。

唾液は免疫機能を支える大切な役割も担っています。

 

⑤ 気分が落ち込みやすくなる

咀嚼には、脳内のセロトニン(精神を安定させるホルモン)を分泌させる働きもあります。噛む回数が少ないと、この分泌が減り、ストレスに弱くなるとも言われています。

メンタル面を整える意味でも、よく噛むことは大切です。

 

こんなサインがあれば要注意

日常の中で以下のような変化に気づいたら、噛む力の衰えが始まっている可能性があります。

・せんべいやたくあんなどの硬いものが苦手になった
・咀嚼時に顎が疲れる
・早食い傾向がある
・口が渇きやすい、唾液の量が少ない気がする
・入れ歯が合わず、しっかり噛めない

ひとつでも当てはまれば、今から対策を始めることが大切です。

リンゴをかじっている

 

40代からでも間に合う!咀嚼力アップの習慣

 

① 硬めの食材や調理法を選ぶ

切り干し大根、ごぼう、れんこんなど、自然と噛む回数が増える食材を取り入れましょう。食材の大きさや火の通し方を少し工夫するだけでも噛む回数を増やすことができます。

スープや煮込み料理ばかりに偏っている方は要注意です。

 

② ひと口30回を目安に噛む

ゆっくりと噛んで食べることで、満腹中枢が刺激され、過食防止になります。意識して30回を目標に噛むことで、消化も助けられ、食事の満足感も高まります。

テレビやスマホを見ながらではなく、「味わう食事」を心がけましょう。

 

③ 歯のケアと噛み合わせチェック

虫歯や歯周病で噛めない状態を放置していると、噛む力はどんどん落ちてしまいます。歯科での定期検診、入れ歯やブリッジの調整を行い、快適に噛める口を保ちましょう。

「噛める」ことが、体と心の健康を守る第一歩です。

 

まとめ:噛む力は“見えない筋トレ”です

咀嚼力は年齢とともに少しずつ衰えていきますが、日々の生活習慣で維持・改善することが可能です。40代から意識して対策することで、将来の健康リスクを大きく減らせます。

食事を「噛む」ことに意識を向けるだけで、体調、姿勢、気分、すべてが前向きに変わっていくでしょう。今日の一食から、ゆっくり丁寧に噛んでみませんか?

 

医療法人隆歩会 京橋あゆみ歯科クリニック

院長 野田大介