• その他
  • 歯科コラム

安全・安心の医療のために!滅菌・消毒についてお話します

 

歯科医院は、治療中に器具が患者さんの口腔内に触れる機会が多く、他の医療施設と比べても院内感染のリスクが高い場所です。治療の際に唾液や血液が飛散し、これが原因で細菌やウイルスが広がることがあるため、衛生管理は非常に重要です。安心・安全な治療環境を提供するためには、滅菌・消毒の徹底や、必要に応じた使い捨て器具の活用が不可欠です。

ここでは、歯科治療における感染予防の基本である「滅菌」「消毒」「使い捨て器具」について、詳細かつ分かりやすく解説します。これらの知識を知っておくことで、衛生対策がしっかり行われている歯科医院を見極めるポイントになりますので、ぜひご覧ください

 

1. 滅菌:感染リスクを徹底排除するための完全な微生物除去法

 

滅菌とは?感染症のリスクを防ぐための必須プロセス

滅菌とは、治療器具に付着する細菌やウイルスなどの微生物を完全に死滅させることを指します。歯科治療で使用するタービン(歯を削る器具)やピンセット、ミラー、バキュームといった器具は、患者さんの口腔内に直接触れるため、感染リスクが特に高いとされています。このため、滅菌が不十分な状態で使用すると院内感染のリスクが生じ、患者さんに影響を及ぼす可能性があります。

滅菌方法:歯科医院で使用される代表的な滅菌器の種類

滅菌には、主に高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)やガス滅菌器が使用されます。オートクレーブは、器具を高温高圧の蒸気で処理し、すべての微生物を死滅させる方法です。一方、熱に弱い器具にはガス滅菌が適用されることがあり、さまざまな器具に応じた滅菌方法が使い分けられています。滅菌が完了した器具は滅菌用ラップで包み、治療直前に開封することで再汚染を防いでいます。

 

滅菌対象の器具例

タービン:歯を削るための高速回転器具

ピンセット、ミラー:口腔内に使用する治療用器具

バキューム:治療中の唾液や血液の吸引器具

その他:口腔内に接触するすべての器具

 

2. 消毒:日常的に行われる感染リスク軽減措置

 

消毒とは?滅菌と異なる細菌・ウイルスの減少方法

消毒とは、器具や環境に付着する細菌やウイルスを一定のレベルまで減少させる方法です。滅菌とは異なり、完全な微生物除去ではありませんが、患者さんが触れる部分や使用頻度の高い場所には、日常的な消毒が必須です。歯科医院では治療台やテーブル、待合室の椅子など、患者さんが触れる全ての場所で消毒が徹底されています。

 

消毒が行われる器具・場所

治療台、診療用テーブル:唾液や血液の飛散が想定されるため、治療のたびに消毒

レントゲン、CT機器:触れる部分が多いため、使用ごとに消毒を実施

待合室の椅子、スリッパ、手すり:共用物品のため、定期的な消毒が不可欠

トイレ、ドアノブ:細菌が集まりやすい箇所であり、感染予防のため徹底的に消毒

 

3. 使い捨て器具の徹底活用:院内感染を防ぐための重要な対策

 

使い捨て器具のメリットとその役割

使い捨て器具は、使用ごとに廃棄することで感染リスクを極力抑える役割を果たしています。特に血液や唾液に触れる器具や物品については、使い捨てのものを使用することで衛生管理が徹底され、患者さんが安心して治療を受けることができます。

 

使い捨ての器具例

注射針:感染リスクが高いため、一度使用したら廃棄

ガーゼ:治療時の止血や消毒に使用されるため、使い捨てで感染を防ぐ

ゴム手袋、マスク:歯科医師や歯科衛生士が患者ごとに新しいものを使用

紙コップ、エプロン:患者さん専用で使い捨てされ、清潔な治療を保証

 

4. 歯科医院の衛生管理の裏側:器具の再利用管理と徹底的な衛生対策

 

再使用される器具の安全な管理と衛生対策

歯科医院では、コストや環境の面から再使用可能な器具も多く使われています。しかし、再使用する器具は、患者さんごとに厳格な滅菌処理を行うことで、感染リスクを完全に防止しています。再利用する器具の管理には多大なコストや労力がかかりますが、安全性が最優先されます。

 

歯科医院での衛生管理の工夫:環境と安全性の両立

滅菌・消毒を徹底している歯科医院では、環境に配慮しながらも衛生管理に妥協しない姿勢が求められます。最近では、エコを意識し、使い捨て器具を減らしつつも滅菌方法を工夫している医院も増えています。患者さんに安心して治療を受けてもらうため、環境と安全性のバランスを考えた対策が取られています。

 

5. 安全な歯科医院を見極めるためのポイント

 

院内感染予防の取り組みを確認する方法

安心して通える歯科医院を見つけるためには、ホームページやパンフレットでの衛生管理情報の確認が重要です。特に、「滅菌」や「使い捨て器具」に関する取り組みを掲載している歯科医院は、感染対策に意識が高く、患者さんの安全を守る姿勢が伺えます。受診時には、治療器具がきちんと滅菌用ラップや滅菌パックに入っているかなど、目で確認できる衛生管理も参考になります。

 

まとめ:歯科治療の院内感染対策は安心のための基礎

院内感染を防ぎ、患者さんが安心して治療を受けられる環境を整えるため、歯科医院では滅菌・消毒の徹底、使い捨て器具の活用、再利用器具の衛生管理に取り組んでいます。滅菌や消毒の知識を持っておくことで、衛生管理が行き届いた歯科医院を選び、より安全な治療を受けることができます。

医療法人隆歩会 京橋あゆみ歯科クリニック

院長 野田大介