• 歯科コラム

歯列矯正中のセルフケアのポイントと効果的なやり方

矯正治療の成功に不可欠なセルフケア

 

歯列矯正治療の成功には、適切なセルフケアが欠かせません。矯正装置の装着により歯磨きが難しくなるため、日常的な口腔ケアが特に重要です。虫歯が発生すると追加の治療が必要となり、矯正計画が遅れるリスクが高まります。そのため、矯正治療を計画通りに進めるためには、細心の注意を払ったセルフケアが求められます。本記事では、歯列矯正中のセルフケアの重要性と具体的な方法について詳しく解説します。

 

 

矯正中に求められる丁寧な歯磨き

矯正装置の種類によって、必要とされる歯磨きの方法が異なります。例えば、インビザラインなどのマウスピース矯正では、患者が自ら装置を取り外せるため、通常の歯磨きが可能です。しかし、ワイヤー矯正の場合、装置は歯科医院でしか取り外せないため、装着したままでの歯磨きが求められます。
特にワイヤーの下部は汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病(ペリオドンティクス)のリスクが高まります。ここでは、ワイヤー矯正治療中の正しい歯磨き方法について詳しく説明します。

 

ワイヤー矯正中の効果的な歯磨き方法

 

1. 優しく磨き、毛先をしっかり当てる

汚れを除去するために強く磨きすぎると、歯や歯茎(歯肉)にダメージを与えることがあります。歯ブラシは鉛筆を持つように握り、力を入れすぎずに小刻みに動かしましょう。歯の表面や歯と歯茎の境目に毛先を当てて、1本ずつ丁寧に磨きましょう。

ワイヤーの上部と下部

歯ブラシを斜め45度に向け、毛先が細部に届くように磨きます。特にワイヤーの上部と下部は食べかすがたまりやすいため、しっかりとブラッシングしましょう。

ブラケットの周り

ブラケットの周りは特に汚れが付きやすい箇所です。歯ブラシを45度に傾け、斜め上や斜め下に角度を変えながら念入りに磨きます。

ワイヤー下

矯正装置が邪魔で磨きにくい部分ですが、歯ブラシを縦に向けたり、毛先をワイヤーの下に通して汚れを除去します。

歯と歯肉の境目

歯と歯肉の間にたまった歯垢は、縁下歯石となり、歯や歯肉に悪影響を及ぼします。矯正装置の周りだけでなく、歯と歯肉の間も丁寧に磨きましょう。

前歯の裏

歯ブラシを縦に持ち、「かかと」を使って前歯の裏の汚れをかき出します。前歯の裏は特に歯垢がたまりやすいので、念入りに磨くことが重要です。

奥歯

奥歯は磨き残しが多くなりがちです。頬側、舌側の両方をしっかりと磨きましょう。

 

矯正中の歯磨きをサポートする便利なアイテム

矯正中の歯磨きをより効果的にするためには、以下のアイテムの活用が推奨されます

 

タフトブラシ

ヘッドが小さく、細かな部分を磨きやすいブラシで、特にブラケット周りの清掃に適しています。

 

歯間ブラシ

ワイヤーの下や矯正装置の隙間に溜まった汚れを取り除くのに役立ちます。

デンタルフロス

歯間の細かい部分の汚れを除去するために使用します。矯正装置があっても使用しやすいタイプもあります。

 

マウスピース矯正中の清掃方法

マウスピース矯正では、装置を外して通常の歯磨きが可能です。ただし、マウスピース自体の清掃も重要です。特にくぼんだ部分には食べかすや細菌がたまりやすいため、指で優しくこすり、細かな部分は歯ブラシで汚れを落とし、流水で洗い流しましょう。マウスピースは非常に薄く、変形や傷がつきやすいので注意が必要です。

 

矯正治療を成功させるために

矯正中に虫歯が発生すると、矯正治療が一時中断される可能性があり、治療期間が延びることがあります。計画通りに治療を完了し、美しい歯並びを早期に実現するためには、日々のセルフケアが欠かせません。正しいセルフケアを実践し、矯正治療の成功を目指しましょう。

 

 

監修:医療法人隆歩会理事長 歯学博士 福原隆久