奥歯を失った際の影響とブリッジ治療の役割
奥歯の重要性と欠損による影響
奥歯は、食物の細かい咀嚼を行うために非常に強力な噛む力を発揮します。この機能は食物を効果的に細かくし、消化を助ける重要な役割を果たしています。しかし、虫歯や外傷により奥歯を失うと、その噛む力は著しく低下し、食事が困難になるだけでなく、咬み合わせの不均衡を引き起こす可能性があります。さらに、奥歯が欠けたまま放置すると、隣接する歯が空いたスペースに移動し始め、歯列全体の乱れやさらなる歯の問題を引き起こすリスクが高まります。
欠損補綴治療としてのブリッジ
失われた歯を補うための治療法の一つが「欠損補綴」であり、その中でも「ブリッジ治療」は広く用いられています。ブリッジ治療は、失った歯の両隣の歯を支柱として使用し、その間に人工の歯を装着する方法です。この方法により、欠けた奥歯を補完し、噛む力を回復させると同時に、見た目の美しさも保つことができます。ブリッジは固定式の補綴物であるため、取り外しの手間がなく、日常生活での違和感も少ないのが特徴です。
奥歯のブリッジ治療のプロセス
1.隣接歯の削合: ブリッジを支えるために、両隣の健康な歯を少し削ります。
2.土台の形成: 削った歯に土台を作り、ブリッジの支持基盤を整えます。
3.歯型取り: 精密なブリッジを作るために、患者の口腔内の型を取ります。
4.仮歯の装着: 仮の歯を装着して隣接歯の位置を固定し、咬み合わせの安定を図ります。
5.ブリッジの製作: 歯型をもとに、患者に適したブリッジを製作します。
6.ブリッジの装着: 完成したブリッジを装着し、咬み合わせを微調整します。
ブリッジの種類と選択肢
ブリッジ治療には、「保険診療」と「自由診療」の2種類があります。保険診療のブリッジは、主に銀歯や樹脂を使用し、比較的低コストで提供されますが、虫歯の再発リスクや素材の耐久性に課題があります。一方、自由診療のブリッジは、セラミックやジルコニアなどの高品質な素材を使用し、自然な見た目と耐久性に優れています。特に奥歯に使用する場合、強度が求められるため、ジルコニア製のブリッジが推奨されることが多いです。
奥歯の欠損が咬み合わせ全体に及ぼす影響
奥歯の欠損が長期間続くと、隣の歯が欠けた部分に向かって移動し、咬み合わせが乱れることがあります。さらに、時間が経つと、対向する歯が上方向に突出し、さらなる咬み合わせの不調を引き起こすこともあります。これらの問題を避けるためにも、欠損補綴治療は非常に重要です。
ブリッジ治療の利点
ブリッジ治療は、治療期間が比較的短く、保険適用であれば費用も抑えられるため、多くの患者に選ばれる治療法です。治療期間は通常1〜2ヶ月程度で、治療回数は2〜3回で完了します。費用は保険適用の場合、3割負担で1歯あたり約2万〜3万円となっています。また、ブリッジは装着後の違和感が少なく、患者の快適な生活を支えます。
ブリッジの寿命と維持の秘訣
ブリッジの寿命は個人差がありますが、一般的には7〜8年とされています。ブリッジの寿命を延ばすためには、日常的な口腔ケアが重要です。特に、ブリッジと歯肉の境目を丁寧に磨くことで、虫歯のリスクを低減できます。また、定期的な歯科医のクリーニングもブリッジの長寿命化に貢献します。
ブリッジを選ぶ際の考慮点
ブリッジ治療は、他の治療法に比べて費用や期間が抑えられる一方で、隣接する健康な歯を削る必要があるため、他の治療法も検討することが重要です。特にインプラントや義歯といった治療法も選択肢に入れ、歯科医と十分に相談した上で最適な治療法を決定することが望ましいです。
歯の欠損や治療方法にお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。専門的なアドバイスと治療法の提案をさせていただきます。
監修:医療法人隆歩会理事長 歯学博士 福原隆久