歯垢とは?そのメカニズムと予防策について
歯垢(プラーク)は、歯の表面に形成される白っぽい粘性の物質であり、口腔内の細菌、唾液、食べ物の残りかすが混ざり合って作られます。このまま放置すると虫歯や歯周病の原因となるため、適切なケアが欠かせません。本記事では、歯垢の形成プロセス、その影響、そして予防法について詳しく説明します。
歯垢の形成プロセス
1.ペリクルの形成
歯列矯正は、不正咬合(歯並びや咬み合わせの異常)を治療することで、咬合機能を改善します。不正咬合は、日常生活に支障をきたすことがあり、将来的には歯の喪失リスクを高めることがあります。矯正治療により、正しい咬合を取り戻し、長期的な口腔健康を維持することが可能です。
2.細菌の付着
ペリクルに口腔内の細菌が付着し、増殖し始めます。この段階で形成される初期の歯垢には、ストレプトコッカス・ミュータンスなどの虫歯原因菌が含まれ、これらが粘着性のグルカンを生成して歯垢の形成を進めます。
3.バイオフィルムの形成
歯垢が増殖すると、さらに多くの細菌が集まり、バイオフィルムと呼ばれる強固な構造を形成します。この成熟したバイオフィルムは抗菌剤や免疫システムに対して非常に抵抗力があります。
歯垢が引き起こす問題
歯垢は主に虫歯(う蝕)と歯周病という二つの重大な問題を引き起こします。
●虫歯
歯垢中の細菌が糖分を分解して酸を生成し、この酸が歯のエナメル質を溶かすことによって虫歯が進行します。特にフッ化物が不足すると、エナメル質の再石灰化が妨げられ、虫歯のリスクが増大します。
●歯周病
歯垢中の細菌が歯茎(歯肉)を刺激し、炎症を引き起こします。この炎症が進行すると、歯周ポケットが深くなり、歯を支える骨組織(歯槽骨)に影響を及ぼします。最終的には、歯が抜け落ちることもあります。
歯垢の予防と除去
●毎日の歯磨き
歯垢の予防には、毎日の適切な歯磨きが不可欠です。歯ブラシを使って、歯と歯茎の境目(歯肉縁)を意識しながら丁寧にブラッシングしましょう。少なくとも2分間、すべての歯を磨くことが推奨されます。電動歯ブラシの使用も効果的です。
●デンタルフロスの使用
歯ブラシでは取り切れない歯と歯の間の歯垢は、デンタルフロスを使って除去しましょう。毎日の使用で歯周病のリスクを大幅に低減できます。歯間が広い場合には歯間ブラシも有効です。
●定期的な歯科検診
自分では取り切れない歯垢や歯石は、定期的に歯科医院でプロフェッショナルクリーニング(スケーリングおよびルートプレーニング)を受けることが重要です。専門家によるクリーニングは、セルフケアでは取り切れない部分を徹底的にきれいにします。
歯垢対策の補足知識
●食生活の見直し
糖分を多く含む食品や飲料を控えることで、歯垢の生成を抑制できます。特に間食や夜食は口腔内のpHが酸性に傾きやすいため注意が必要です。食事後の歯磨きが難しい場合は、水で口をすすぐだけでも歯垢の形成を抑える効果があります。
●フッ素の利用
フッ素配合の歯磨き粉や洗口液は、歯のエナメル質を強化し、虫歯の進行を防ぐのに役立ちます。特にお子様の乳歯は薄くて柔らかいため、虫歯になりやすいです。定期的なフッ素塗布と歯科検診をお勧めします。
●キシリトールガムの咀嚼
キシリトールは虫歯の原因菌の活動を抑える効果があります。さらに、ガムを噛むことで唾液の分泌が促進され、唾液の自然な洗浄作用が歯垢の形成を防ぎます。
まとめ
歯垢は、日々のケアと予防策を実践することで効果的にコントロールできます。毎日の歯磨き、デンタルフロスの使用、定期的な歯科検診を欠かさずに行い、健康な歯と歯茎を維持しましょう。歯科医師のアドバイスを受けることで、より効果的な予防法を実践できます。自分の口腔内の健康を守るために、日々のケアを大切にしましょう。
監修:医療法人隆歩会理事長 歯学博士 福原隆久