知りたい!歯列矯正で「ブサイク」にならないためには
歯列矯正は、美しい笑顔と健康な口腔環境を得るための重要な治療です。しかし、矯正治療による見た目の変化に不安を感じる方も少なくありません。ここでは、歯列矯正のメリットとデメリット、そして「ブサイク」にならないためのポイントについて詳しく説明します。
歯列矯正のメリット
咬合の改善
歯列矯正は、不正咬合(歯並びや咬み合わせの異常)を治療することで、咬合機能を改善します。不正咬合は、日常生活に支障をきたすことがあり、将来的には歯の喪失リスクを高めることがあります。矯正治療により、正しい咬合を取り戻し、長期的な口腔健康を維持することが可能です。
2. 虫歯・歯周病予防
歯並びが悪いと、歯の重なりや凹凸が原因でブラッシングが難しくなり、歯垢が溜まりやすくなります。これにより、虫歯や歯周病(歯肉炎・歯周炎)のリスクが高まります。矯正治療により歯並びを整えることで、これらのリスクを大幅に軽減できます。
3. 審美的な改善
審美的な歯列矯正は、Eライン(鼻尖から顎先を結ぶライン)の内側に口元が収まることで、美しい横顔を形成します。矯正治療は、機能改善だけでなく、顔貌の美しさを向上させる効果も期待できます。
顎関節症の予防
不正咬合は顎関節症(Temporomandibular Joint Disorder, TMD)のリスクを高めます。矯正治療により、顎にかかる力を均等に分散させることで、顎関節症の予防が可能です。
咀嚼機能の向上
正しい咬合が実現することで、歯が均等に接触し、咀嚼効率が向上します。これにより、消化器官への負担が軽減され、特定の歯に過剰な負担がかかることを防ぎます。
コンプレックスの解消
歯列不正による見た目のコンプレックスを抱えている場合、矯正治療によりその悩みを解消できます。笑顔に自信が持てるようになり、表情が明るくなるという効果もあります。
歯列矯正のデメリット
治療中・治療後の違和感・痛み
矯正装置の装着により、一定の痛みや違和感を感じることがあります。また、治療後もしばらくは新しい咬合に慣れるまで違和感を覚えることがあります。
治療中の齲蝕・歯周病リスク
矯正装置が原因で歯の清掃が難しくなり、デンタルプラークの蓄積による虫歯や歯周病のリスクが高まります。特にワイヤー矯正ではブラケット周りにプラークが溜まりやすく、マウスピース矯正でもプラークの取り残しが問題となります。
治療後の後戻りリスク
矯正治療が完了しても、歯が元の位置に戻ろうとする力が働くことがあります。これを防ぐためにリテーナー(保定装置)の使用が必要です。
偶発症のリスク
稀に歯根吸収(歯の根が短くなる)、骨性癒着(歯根と骨が癒着する)、神経の失活(歯の神経が死ぬ)、歯肉退縮(歯ぐきが痩せる)、顎関節症などの偶発症が発生することがあります。
顔貌のマイナス変化
矯正や矯正に伴う抜歯が原因で顔が面長になったり、ほうれい線が深くなることがあります。これにより、矯正治療を受けたにもかかわらず、「ブサイクになった」と感じることがあります。
歯列矯正で「ブサイク」にならないためのポイント
原因
皮膚の弛み:前歯の突出を矯正することで、張っていた皮膚が弛み、ほうれい線が目立つことがあります。
筋肉の衰え:矯正中に食事量が減ることで顔が痩せたり、顎の筋力が低下することがあります。
歯の移動:歯を前に並べるスペースを確保せずに矯正を行うことで、出っ歯になることがあります。
対策
●信頼できる歯科医選び: 経験豊富で知識のある歯科医師を選ぶことが重要です。レントゲンやCT、光学印象などの資料を基に治療計画を立てる医院を選びましょう。
●カウンセリングの重視: 治療前のカウンセリングでしっかりと相談し、自分の希望や懸念を伝えましょう。
●保定装置の使用: 治療後の後戻りを防ぐためにリテーナーを適切に使用しましょう。
歯列矯正後のケアとメンテナンス
1.虫歯・歯周病予防: 毎日の歯磨きはもちろん、フロスや歯間ブラシを使って丁寧に清掃しましょう。特に矯正装置が外れた後も、ブラケット周りにホワイトスポットが残っていないか注意しましょう。
2.顔貌ケア: 矯正治療後は、口輪筋や表情筋のトレーニングを行いましょう。これにより、顔のたるみを防ぎ、若々しい印象を保つことができます。
失敗しないための歯科医選びと再矯正のポイント
1. 歯科医選び 歯科医院でしっかりと相談いただき、経験豊富な矯正専門医を選びましょう。ネットの評判や口コミだけでなく、実際に医院に足を運び、納得のいく説明を受けることが大切です。
2. 再矯正 矯正治療がうまくいかなかった場合、早めに再矯正を検討しましょう。早期の対応が効果的です。
歯列矯正は、美しい歯並びと健康な口腔環境を実現するための重要な治療です。正しい知識と適切なケアを行い、歯列矯正のメリットを最大限に活かしましょう。
監修:医療法人隆歩会理事長 歯学博士 福原隆久