• 歯科コラム

親知らず(第三大臼歯、智歯)とは?

親知らずは、口腔内の最も奥に位置する第三大臼歯で、別名「智歯(ちし)」とも呼ばれています。通常、15歳前後で他の歯が生え揃う時期に、親知らずは15〜20代にかけて生えてくることが一般的です。親知らずは噛み合わせの機能に関与しないことが多く、虫歯や歯周病のリスクを高めるため、抜歯が推奨される場合があります。

 

 

親知らずの痛みの原因

親知らずが痛む原因は主に以下の二つです。

親知らずの生え方

現代人の顎は進化や食生活の変化により小さくなっています。そのため、全32本の歯(上下各16本)が自然に収まるスペースが不足しており、親知らずが正常な位置に生えにくくなっています。このため、親知らずが斜めや横向きに生えたり、隣接する歯に圧力をかけたりすることがあります。また、親知らずが歯茎内で炎症を引き起こすことがあり、これが痛みの原因となることが多いです。特に、水平埋伏智歯(横向きに埋まった親知らず)は周囲の歯に悪影響を及ぼしやすく、早期の対応が求められます。

親知らずの位置と清掃の難しさ

親知らずは口腔内の奥に位置しているため、歯ブラシが届きにくく、食べ物のカスや歯垢がたまりやすいです。これが虫歯や歯周病の原因となり、痛みを引き起こすことがあります。特に、親知らず周囲の歯茎に炎症が起きる智歯周囲炎は、親知らずが部分的に生えている状態で発生しやすいです。

 

急な親知らずの痛みの原因

親知らずが突然痛み出す原因には、いくつかの要因があります。

●智歯周囲炎
親知らずが完全に萌出できない場合、その周囲の歯茎や歯周組織が炎症を起こすことがあります。これを放置すると、顎や顔面が腫れ、場合によっては発熱を伴うことがあります。早期に歯科医師の診察を受け、適切な治療を行うことが重要です。
●親知らずの虫歯
親知らずは清掃が困難であるため、虫歯が発生しやすい歯です。特に埋伏している親知らずは視認が難しく、虫歯の発見が遅れることが多いです。定期的な歯科検診で早期発見を心がけましょう。
●歯周病
親知らず周辺の歯垢が歯石に変わり、歯周病の原因となることがあります。歯周ポケット内の歯石が歯周病を進行させ、痛みを引き起こします。
●親知らずの萌出
親知らずが生え始めるとき、隣の歯を押しやり、歯肉を突き破ることで痛みを感じることがあります。この痛みは一時的なものですが、場合によっては抜歯が必要となることもあります。
●知覚過敏
親知らずも他の歯と同様に知覚過敏を引き起こすことがあります。冷たいものを摂取した際に痛みを感じる場合、知覚過敏の可能性がありますが、頻繁に強い痛みがある場合は歯科医師の診断を受けることが重要です。

 

親知らずの痛み対策

親知らずが急に痛み出した場合、まずは優しく患部周辺をブラッシングし、必要に応じて痛み止めを使用してください。腫れがある場合は患部を冷やし、薬剤師に相談して適切な薬を選びましょう。

 

親知らずの抜歯について

親知らずが正常に生えていて問題がない場合、抜歯の必要はありませんが、虫歯や歯周病の原因となっている場合は抜歯が勧められることがあります。特に下顎の親知らずは抜歯が難しく、術後に腫れやすい傾向があります。抜歯後は処方された鎮痛剤を使用し、適切なケアを行いましょう。

 

親知らずの管理とケア

親知らずが気になる場合や症状が出る前に、定期的な歯科検診を受けてその状態を確認することが重要です。親知らずの健康状態について不安がある場合は、早めに歯科医師に相談し、最適な治療を受けるようにしましょう。定期的なチェックと適切なケアで、親知らずのトラブルを未然に防ぐことができます。

監修:医療法人隆歩会理事長 歯学博士 福原隆久